第26章 天変動地(てんぺんどうち)
無惨「なるほど……
全てが幸福になるように歪める神
一人のみが幸福になるように歪める癌
癌は罪を罪と思わず、認めぬし繰り返す
だが神は罪を罪と認め、繰り返さぬよう邁進する
簡単な対比だ…
理解した、十分にな」手で制す
恵土「……
なら…一つ問いたい」
無惨「?なんだ?」
恵土「お前…まさか……
私と一つになることで癌化から抜け出そうとしてるのか?
無惨「ふっ
はははははははははっ!^^
素晴らしい…一を聞いて十を知るとはな…」
恵土「癌であるお前が生き延びるには…それしかない
だが…
それだと、九百七十六垓人が蘇らせられない」
無惨「ふむ…
貴様の台詞では確か…
罪は罪だ、死んでも消えることは無い、だったな?」
恵土「お前…まさか!!」
無惨「ふん…
あんな女狐等誰が食うか
貴様の動向を見張っていた者から知っただけに過ぎん
わざわざ殺す価値も無いわ」
恵土「…公麿」
無惨「ふっ…お前も知っていたか…
いや……
鬼から人に戻したのがお前だったな」
恵土「……ああ」
無惨「一つ問う……
何故…私を生かした?
私には何の天罰も下っていない
何百何千という人間を殺しても私は許されている
この千年神も仏も見たことがない」
恵土「ああ…
だから来たぜ
ここに!
お前を――斬る!!
その為に…私は生まれて来たんだ……
皆を蘇らせる為に…
九百七十六垓人が身投げして…
主犯格の癌一人のせいで、初代が残り寿命が百年になる所を助けてくれた
だから今…まだ、全てが在る!」
無惨「………そうか
お前が俺の嫁に来ても…
状況は変わらぬか…」
恵土「ああ……
悪いけれど…
本当に…どうにも仕様が無いことなんだ」
無惨「そうか……
ならば…癌としての力を解放し、お前を打ち倒し、喰らい、成り変わる
お前なら変異させられるのだろう?光そのものへ……
千垓人を殺した魂の前世、今世では私はまだ何も消滅させては居ない」
恵土「正気か?何人殺した?何人手に掛けた?
ついさっきも何人お前の都合で殺した?
減らそうとしたか?繰り返さぬよう背負ったか?
どうやっても…生き長らえても…お前が出来るようになるか…私にはわからない」
無惨「だから伴侶として協力しろと言っているんだ
わからんのか?
恵土「それは利用であって伴侶じゃない!!」
