第22章 機能回復…薬?(やく?)
恵土「む…
なんのこれしき
しのぶ「無理に動かない!」
必死に身を捩るも、上体を上げることすらも叶わずにいた
ピシャリと叱られ、顔ごと沈んでいた
恵土「ちゃ…ちゃんと動くぞ?」ぜえぜえ
しのぶ「息絶え絶えでなにを
ちゃんと休んで下さい!!
その点滴だって抜けたら死ぬんですからね!!?」
蜜璃「しのぶちゃん!
落ち着いて;」どおどお
恵土「ふ…ああああ
あ…れ?ねむ、い」うとうと
しのぶ「損傷は無くとも、脳の深部に麻痺を残すように攻撃されたんです!鬼にならなければ再生しないぐらい!
少し黙って療養に励んで下さい
ついさっきまでずっと寝た切りだったんですよ?
全く動かずに……っ(じわっ!)
いつ死んでも…おかしく……」
消え入りそうな声で涙を落とした
恵土「ごめ…ん
心配掛けたな…
きっと…治すから
待ってて…くれ
必ず起きるし…必ず…お前のもとに戻るから」
その言葉を最後に、再び眠りに付いた……
しのぶ「ばか……
(心配なんて…そんな次元じゃっ」
その言葉は…恵土の寝息に掻き消された
それは……恵土の遺書を読んだから
遺書の文面
しのぶが蝶なら
私は蛾だ
相手に都合の良い言葉を掛けて
ふらふらふらふら、糸の切れた凧のように飛び回る
人によって見える姿を変え、より良く見せようとする上っ面とは対照的に
ころころころころ、一定せず、一貫せず、人に応じて求めた在り方をしようと変える醜さが中で渦巻いている
人の為ならと火の中でも飛び込み、それでも…自分だけが生き長らえてしまう
大事な人ばかりがすり抜けて、落ちて、消えて…喪ってゆく……
八方美人とも言える生き方だと…自覚していた
それでも……少しでも…その人が幸せでいられるなら、長く生きていられるなら…それ(願いや想い)だけで、手一杯で…それしか一貫していない……
だから……
見せる姿を変えず
どんなことがあろうとも
自分を捨てず、貫き、一貫する姿に
憧れた…
言われたことを考え
決め付けたりせず
一生懸命励み、寄り添い
知ろうとしてくれる
真っ直ぐに見てくれる
そんな姿に…
自分には無いそれに打ちのめされて…
惚れ込んでしまった
9歳も差があるのだから…こんな想いは迷惑でしかない、そんなこと(しのぶが自分に惚れること等)ある訳が無いと思い込んでいた
