第20章 十二鬼月、討滅(じゅうにきづき、とうめつ)
俺は影に潜んでいろと言われた一体目の分体」瞑目し胸に手を当てる
恵土の側で胡座をかいていた童磨は立ち上がり
恵土を血鬼術の氷の鎖で持ち上げて、その両脇に腕を入れた
童磨「よっこいしょっと
肺を埋めていた血は抜けたかな?
よし、じゃあ全身の骨を折るね?
あの方が逃がすなってうるさいから」
ばぎいっ
全身に走る衝撃を最後に、恵土は完全に意識を手放した
童磨「あ!
ちゃんと内臓に刺さらないように折ったから大丈夫だよ?
あー
君やっぱり美味しそうだねぇ
右腕だけ貰おうかなあ?鬼になれば再生するし
きちんと氷で止血するから安心して?
さっきの子の左腕も美味しかったし
後で丸ごといただこうかな
さてと…じゃあ、いただきまーす^^」
ざんっ!!!!
次の瞬間…童磨の頸が落とされた
童磨「あー…増援か
随分無理して飛んできたんだね
息絶え絶えだ」
ぱしっ!!
恵土を受け取るや否や距離を取るしのぶを見て
残念そうに笑う
しのぶ「はあっはあっはあっはあっ←肩で息をするも荒れた息を必死に整えようとして、手文字の息をするなに気付く
(危なかった…
蜈蚣ノ舞 百足蛇腹(ごこうのまい ひゃくそくじゃばら)が間に合わなかったら
確実に師匠の腕は……
肺は止血されてる、大丈夫!」
辛うじて息の範囲を切り替えて
近付く血鬼術に対し、血鬼術を無力化する毒を口に含み、息と共に吹き出し霧状に散布する
童磨「その子…可哀想な子だねえ
あの方の記憶を見て、知ったんだ
この世もあの世も地獄も天国も…神々が住まう神界も
……そして……
全ての世界を管轄する神々界
原初の神々界
その首魁は今どうなってるかって?
君のすぐ横で転がってるのが成れの果てだ
酷いなあ
苦しいなあ
痛いなあ…
皆を必死の想いで繋ぎ止めて
実在化して
どんなことをしても
悪いことをどれだけしたって
実在化させて
誰からも感謝されず見向きもされない」
しのぶ「…やめて」震
童磨「惨めで哀れなゴミ粒だ
己を除く全ての為に頑張っても
己の全てを投げ捨てて切り売りしても
皆笑ってる!
楽しいねぇ嬉しいねぇ
君の苦しみがご馳走だ!
皆笑って君を貪り食う!
笑って笑って当然だって笑う
どうしてかって?
どうでもいいからさ!自分の幸福以外!!
皆、自分の欲求以外はどうでもいいんだよ」微笑
