第2章 最終選別(さいしゅうせんべつ)
一番の急務は、朧(おぼろ)と一閃(いっせん)を身に付けることに焦点を当てた
風月流の初歩である朧
そして奥義である一閃
双方共に全ての技における主軸であり、大事な根幹を占めており、欠かせないものとなるから
真月流の奥義である風魔一閃(ふうまいっせん)
それは…
馬ごと向かってくる剣を振り下ろさんとする馬上の武将を
馬ごと左肩から右腰骨に向かって斜めに叩き斬る技(袈裟斬り)だ
一閃はそれを突きのみに主点を置き、凝縮し、爆発させる
全ての力、速度を『突き』一点に集約させた技(突き)だ
朧は、一瞬にして消え、一足飛びにして間合いを詰め、その道中である空中で叩き斬る動作の準備を済ませ、到達した直後に動作を済ませる
具体的に言えば心臓を突き刺し首を叩き斬る技だ
風月流では刀を叩き落とす技に置換されている
その為、朧は一閃と風魔一閃における相手への突進の基盤となる
どちらも相手へ向けて突進し、全てを一撃に込めて爆発させる技だから
どんな時でも常に重心を低くし、体制を整え、隙無く構えれば
どんな状況でも落ち着いて、即座に柔軟に動け、攻撃や防御に転じられる
場や状況の見極め、瞬時の判断力、瞬発力、全てを求められる技達だ
それのみを極めることに集中し、体の基盤を整えていつでも放てるように万全の準備を凝らした
風月流と真月流、双方の肝(きも)であり、根幹でもある
技全体の主軸として、朧は重要な基点(もととなる技)であり、それを極めていない者と極めた者では雲泥の差を生じさせる
一瞬で間合いを詰める
その際に置いて、力めば動きが遅くなり、視野も狭まることから、『脱力』を大きく求められる
一瞬のみで全身の収縮をし、爆発させた脚力と全身の動きでそれを推進させる
全身の動き、脱力、全てを支配し、一塊(いっかい)の動きとして解き放つ
ただそれだけ
なれど…それを極めるのは至難の業とされ、前世でも極めるまでかなりの年月を要した
しかし…一度身に付ければ、再び身に付けるまでは造作も無いこと
既に私は、常日頃から徹底して、その足取りは産まれた頃から意識して常に行い続けていた
母や姉を助ける為に、直ぐに駆け付けれるようにする為に、間に合わせる為に…
願いは叶わなかったけれど……
これから出来ることで叶えていく所存だ
恵土「風魔一閃、首斬り」
