第15章 離れる覚悟、近づく気持ち ※微
飯(どうして、こんなに嬉しいんだろうか…?)
兄が、さんのことをずっと好きだった。
だから自然と、自分はそういう対象じゃないって思ってた。
考えたこともなかった。
いや、考えないようにしてたのかもしれない。
でも、今日。
僕の無事を知って、目に涙を浮かべながら手を握ってくれたあの瞬間、胸がぎゅっと苦しくなった。
ずっと昔から、さんの笑顔が嬉しかった。
気づけば、目で追っていた。
名前を呼ばれるだけで、息が詰まりそうになっていた。
今日、ようやくそれに気づいた。
ずっと――好きだったんだ。
認めたくなかった想いが、ようやく顔を出した。
だから今、他の2人の視線の熱さが、悔しいほどに痛い。
「じゃあ……私は雄英に戻るね」
静かに立ち上がったは、病室を出る間際3人にハグをして疲労回復の治癒を施して微笑んだ。
優しくて、落ち着いていて、柔らかな表情。
体がスーッと軽くなっていく。
飯田は自分の気持ちを自覚してからなかなか言葉がでなかった。
ただ、頭を下げる。
それがやっとだった。
緑谷も、轟も、それぞれの想いを胸にを見送っている。
ドアが、静かに閉まる。
病室に残された3人。
それぞれが、自分の想いと向き合い始めていた。
______________
病室の空気を抜け出したは、ようやく外の風に触れた。
夕方の光が淡く差し込む中、深く息を吸う。
(……3人とも、本当に無事でよかった)
胸の奥に残る余韻と、微かなざわつき。
涙が乾ききらない感情のかけらを抱えながら、ゆっくりと歩き出す。