第6章 5章
「小野先生。ごめんなさい。こんな時間まで」
昼過ぎに待ち合わせたというのに今は陽が陰り始めている
「いえ!いえ!僕も楽しかったですから」
そう言ってお会計伝票を持ってスマートに奢ってくれて
「そんな。引き止めてたのは私なのに。」
「いいんです。経費って事で」
悪戯っぽく笑いながらそう言われて思わずクスッと笑ってしまう
「フフッ。それじゃあ。……ご馳走様でした。ありがとうございます」
「はい。お粗末様でした」
頭を軽く下げると小野先生も軽く頭を下げてて
思わずお互いを見合って笑ってしまった
「燕先生、今後も定期的に意見交換等いかがですか?今日は僕も有意義な時間で楽しかったですし、それにこの交流で良いドラマに出来たら嬉しいなと」
「もちろんです!小野先生とお話しするのとても勉強になりました。あと、私も楽しかったです」
そう言うとまたあの爽やかな笑顔を向けられて
「駅まで送りましょう、それともタクシーですか?」
「あ、電車です!でも大丈夫ですよ?そこまでご迷惑かけられません」
にこっと笑われて
「いえ、僕は駅からタクシー乗るので一緒に向かいましょう。それに迷惑ではないですよ。燕先生とお話ししながら歩くのも楽しそうですしね」
そう言って一歩先を歩きだしたので追いかける
「気を遣っていただいて……すみません」
絶対お世辞であろう事まで言われて居た堪れなくて謝る
「……本心ですよ?」
「…へ?」
「燕先生は聞き上手ですし、楽しそうに聞いていただけたのも好感が持てる。逆に僕ばっかり話してしまって疲れてませんか?」
困り顔の小野先生にそんな事はないと首をぶんぶんと横に振る
「そんな!とっても楽しかったです!あと、私もオタク全開で話しすぎたかなって思ってました」
家で反省会しなければ。と思っていたくらいには興奮してしまったと思う。
まさかあんなとこにこんな伏線が!!などとうるさかったかなと
「燕先生が?…うーん。そんな風には1ミリも感じなかったかな。天真爛漫で可愛いなとは思いましたが、、、あっ!今のは聞かなかったことにして下さい。」
顔を赤くして視線を逸らす小野先生に釣られて思わず私も赤くなってしまう
(可愛い)のフレーズで身体が反応してしまったっていうのもあるのかもしれない