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意馬恋猿〜2人の距離〜

第4章 第三章








自宅


「一度。逃避行でもしたいかもしれない」

「…は?」
秋くんにうっかりスケジュールをお伝えしてしまったが為に現在ぷち同居(煩悩に忠実に)が開催される事になった


「ありがとう秋くん。これからのスケジュールを考えるだけで来週には生きているのかってところだったから」

「いーえ。つーちゃんはバーストモード入ると生活能力が著しく低下するから。家事は任せて」

「押しかけ女房ほんと助かるよ」

「あ、……うん?まぁいいか」

これから脚本と短編漫画の清書を同時進行しなければならない

しかも1人で


「ねぇ、漫画家さんってさ。アシスタントとか雇ったりするんじゃなかったっけ?つーちゃんていつも1人で燃えてるよね」

「燃え、、、あー。うん。あの、、、こんな事言うの違うと思うんだけど…」
私がごにょごにょしだしたのを見て聞き取るために隣に座って覗き込んでくる秋くん


「なに?」

「えっと。なんていうか……は、恥ずかしいの」
思わず両手で顔を隠す

「こんな漫画描いてるのに可笑しいよね」

「……………」

何も言ってくれない秋くん


チラッと隙間から様子を伺うと


「なっ?!わ、笑ってるでしょ!」
片手で口を押さえて震えていた


「あ、、ごめん。だって。…あーもー!」

「ひゃっ?!………へ?」
突然ガバッと抱きつかれて思わずビクッとする
いつものいちゃいちゃタイムとは違った感じで戸惑ってしまう


「……まじで。つーちゃんに落とされそう」

「へ?」

もはや、へ?しかでない


いやいや。

あなた他にも沢山いるでしょ



なんでこんなちんちくりんにそんな事言えるのかな


落とされかけてるのは私なのに


「……はぁ。可愛い。」
さらにギュッと抱きしめられて



嬉しいけど

脳裏にはあの小柄な女性が蘇る


秋くんにとっては何気ない日常の一部なんだろうけど


あの愛おしそうに見つめる姿を見て、あぁ。あれは本物の方かなって思ってしまう


だってあんな顔

私と一緒にいる時は見せてくれた事ないし



そもそも私たちは恋人同士ではない


世間からみたらセフレってやつ



それでもいいやってずっと言い聞かせながら

この場をやり過ごすしかないんだ




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