第6章 5章
「えと、、あ、あの。つまり?」
「うーん。そうですね。……つまり、、、口説いてます!」
人差し指をあげて簡単にそんな事を言い出す小野先生
「は?!く、くど?!」
「はい。だってそうでしょう?私は貴女に惹かれている。だから今一生懸命貴女の目に留まれるように甘い言葉でも囁こうかな。とか、ファンと言ってくださる漫画の原画を餌に自宅にお招きしようかなとか。色々考えてますよ」
爽やかに爽やかではない事をさらりと言って近づいてくる
ちょっとだけ離れようとお尻をあげたら
「離れてしまうんですか?残念だな」
耳元で囁かれた
「んっ、、、や、だめです!」
耳を慌てて押さえて距離をとる
誰だ!!!
小野先生は安心だなんて言った奴は!!
私だ………
「………ふふふ。」
突然肩を震わせて笑い出す小野先生
「あの、、、小野先生?」
「ふふっ。冗談ですよ」
「………え?」
モウワケワカリマセン
げ、下界とは!こんなお戯れもあるのか!!
なんてこと!私の妄想は現実だったの?!
頭を抱えだす私に今だにクスクス笑う小野先生をジロリと睨む
「小野先生酷いです。からかいましたね。拗らせ女子を揶揄うなんて」
なんて悪党なんだ!
「ははっ。すみません。…あ、でも最初に言った事は本当ですよ?」
「…へ?」
「貴女に惹かれてるってところまでは本当です。ただあまりにも燕先生が可愛らしい反応をされたので。思わず悪戯心が囁いてきてしまって。ごめんね?」
戯けて覗き込まれて、思わず顔が熱くなりぷるぷる震えてしまう
「お、小野先生!やめてください!…慣れてないんです」
「あはは。すみません」
さして思ってなさそうな軽い謝罪をしながらまた強めなショットグラスに入った酒を飲む姿は爽やかな最初の印象とは違って大人の男性(アダルティ)を匂わせていた