第6章 5章
バー
「お、小野先生、、、私場違いな気がします」
思わずもぞもぞしてしまう
「ハハッ。大丈夫ですよ。全然そんな事ありません。…それに選ぶ席によっては隠れられますから」
そう言って端っこの席に案内される
そして何を飲むか聞かれて、全く良くわからない呪文の様なお酒のメニューを渡された
「…ごめんなさい。何が何だか」
「大丈夫です。甘いものはお好きですか?」
そう言って適当に頼んでくれて、店員さんといくつか会話をしてその後店員さんは私にも軽く頭を下げてその場を後にした
「小野先生はよくこられるんですか?」
店員さんと仲が良さそうに見えたので聞いてみると
「はい。煮詰まった時によく来るんですよ」
「先生でもそういう時あるんですね」
なんでも卒なくこなしそうなのに
「ハハッ。そうですよ?結構頻繁に。それで一度何を思ったのか。未知なる場所に足を踏み入れたくなりまして。フラッと入ったのがここだったわけです」
そんな話をしていると頼んでいたお酒が届いて
「改めて。乾杯しますか?」
カチンっとガラス同士が軽快にぶつかる音と共に飲んだお酒はオレンジジュースと割ったお酒だった
「美味しい!ジュース見たいですね!」
「ハハッ。あんまり飲みすぎてはいけませんよ?」
悪戯っぽい顔をした後、アルコール度数の強そうなお酒を飲みこむ小野先生はすごく大人に見えた
「ここからの景色が好きなんですよ」
「え?」
「友人、仕事関係、恋人、1人、…色んな事情の人が一気に見渡せる場所です。人間観察にはとっておきの場所です。…結構アイディアも浮かんできたりね」
すっと目を細めて見つめられる
「燕先生は?」
「はい?」
「煮詰まった時。どうやって切り抜けてるんですか?」
「私は……そうですね。
ストレスを溜める?」
「…え?」
思わず出た言葉に一瞬ギョッとした顔をされた気がしたけどもう一度良く見たらいつもの朗らかな小野先生だったから気の所為だろう