第6章 5章
居酒屋
「小野先生。今まで失礼致しました。実は別件の仕事の締め切りが近くて。…言い訳ですね。すみません。これからはもっと早くレスポンスします」
「あはは。大丈夫ですよ。同業ですから。気持ちよくわかります。それに期日は守っていただけてますし」
朗らかに締め切りギリギリに送ってしまう脚本の原稿を許してくれる先生はだいぶ懐が深いと思う
「ところで。次はどんな内容ですか?またAV嬢の方々にインタビューでも?いやぁ、楽しみだな。あれ、人間味がとてもリアルに描かれていてドキドキしてしまうんです」
「え、えっとぉ………まぁ、はい」
あっぶね。
成人向けアダルト漫画家(強め)だって絶対バレてはいけない
「あ!すみません!まだ社外秘でしたか?」
「ハハッ。まぁそんなところです」
笑って………ごまかせたのか?
「そういえば聞きたかったんですよ。何故AV嬢の伝記を描くきっかけになったのか。確かに読み物としては大変面白いですが、いまいち難しい種類ですよね。」
たしかに。伝記といってもかなり匿名性が高いから実際これは創作物なのでは?と思われても仕方ない
「でもただのエロ漫画ではなく、とても人生観があり一口では伝えられないドラマもあったりして。あとがきにもありましたがあれは実際に当人に話を聞いたのだとか。…ただ、良くそこまでの話にもっていけたな。と興味が尽きないです」
お酒の勢いもあってか、楽しそうに話をする小野先生