第3章 Z=18 食料確保へのロードマップ
「す、すごい……」
「ほ、ほんとうに…あった…。石油……。」
水溜まりの周辺から漂ってくる油くささ。黒く染まった液体。
羽京とルーチェは嗅いだことのあるら懐かしい油の匂いと見た目に、瞳を大きくして息を飲む。
「2人共固まってどうしたんだ?石油が見つかったんなら早く教えてやらねぇと。」
クロムはそう言って受話器に手をかけようとした時、ルーチェはまった!と声をかける。
「2人とも少し離れて。」
「ルーチェ、何をする気かな?クロムの言う通りまずは、千空たちに教えないと。」
「ますは、確認。」
クロムと羽京は、顔を見合わせ、揃えて頷くと数歩後ろへ下がった。
ルーチェは腰に着けたチャームをそっと握りこみ、強く念を送ってスティックを展開した。
それを石油の方にむけると……
「フラム」
ルーチェはとろ火のようなものをイメージしながら短く呪文を唱えた。
すると、最初はとろ火だったものが少しづつ燃え広がる。
3人はその光景に、嬉しさを噛み締めた。
「やっべえええええ!本当にあったぞ!石油!」
「はは、これで燃料問題は解決だね。」
羽京とクロムはハイタッチをし、ルーチェは表情を変えず、「良かった」と小さく呟き、光景を見つめていた。
「ルーチェ、お手柄だよ。でも、そろそろ火を消さないと。」
「あ、うん。」
ハッと意識を戻し、火の方を見る。
赤い景色がゆらゆら広がり、その矛先は森へと点火しそうだった。
.