第2章 Z=17 航路の方程式の解き方は?
少し不快そうに、なに?と聴けば、羽京はごめんごめん、と短く謝る。
「え、僕とそんなに変わらないんだね。もっと年上なのかと思ったよ。手術やら手当やらも完璧だった、って聞いてるし。」
「医学生だった頃から、手術現場に入れて貰えてた。…たまたま、そういう機会があっただけ。」
「凄いね。」
羽京が短く返せば、「努力しただけ」、と一言呟き、水を含む。
(無表情だから、わかりにくいけど、ルーチェまた無理してるね。)
羽京が心配そうに見ていると、千空と龍水が2人の近くにやってきた。
「あー、羽京にルーチェ、明日からの予定がきまったぞ。」
「え、石油探すだけじゃないの?」
「石油もほしい!だが、まずは食料だ!気球を使って食料の探索もする。ルーチェ、てめぇも合間に手伝え。」
「つーわけで、作戦会議するぞ。」
食事もそこそこに2人は軽く挨拶をした後、宴会場を後にした。
「あの二人強引だね。ルーチェ、大丈夫かい?」
「いつものこと。」
元気の無い声で軽く言うと、ルーチェも立ち上がり、ジャスパーとターコイズに挨拶をする。
羽京もルーチェに続いて挨拶をし、二人のまつ科学王国の拠点へと向かった。
「ルーチェ。」
羽京がそう声をかけると、ルーチェが振り返り、小首を傾げる。
「君のことだから、多くは言わない。けど、程々にね。」
夜の橋に、羽京の優しい声色が静かに響く。ルーチェは小さく頷き、再び前を向いて歩き出した。
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