第4章 Emergency
「会長室の下の階、天井が崩れたって」
「あのガラスの量だと会長室は半壊だろうな。会長達は大丈夫なのか?」
「さっきの揺れは何だったのかしら?護衛のヒーローにあんな技使う人はいないわよ」
情報が出てこないこともあり、不安と憶測が飛び始めている。
すると、そこへ四ツ橋確保に動いていた機動隊員が入ってきた。
「会長および幹部6名、四ツ橋の秘書1名が意識不明です。護衛のヒーロー3名も負傷しています。担架と応急処置の道具はありますか!?」
救急車は既に要請済みというので、同僚が急いで担架を取りに行く。
「四ツ橋は?」
「二倍の個性で作られた偽物でした。可能性として考慮には入れていましたが、ここまで被害が出たのは想定外です」
そんなやり取りがどこか遠くに聞こえる気がする。
会長と幹部が意識不明……
では明日の作戦は?
ホークスが数ヶ月かけて解放戦線の幹部が一堂に会する日を突き止めてくれたのに、中止される?
次にいつ一斉検挙のチャンスが巡ってくるか分からないのに?
いや、四ツ橋が偽物だったということは、公安が明確に敵対したことも既に敵側に流れていて明日の会議も……
そうなれば作戦は根底から瓦解する。
そもそも会長不在の中、誰が指揮を取ることになる?
良くない仮定がどんどん頭に浮かび、堂々巡りする中、配備を解かれた白失は動ける者達に従って会長室の瓦礫撤去に向かった。