第15章 ・決意
そう言って笑顔を見せるゾロに、ルシファーは無言で頷き、そして少々神妙な面持ちで話始めた。
「ところで、ゾロ……君に一つ伝えておきたい事がある。先日、君の仲間である料理人……『サンジ』に会った」
ゾロの眉が僅かに動く。
「君の話やオセの話を聞いて、ちょっとね……彼の事が少々気になったんだ。やはり、彼の心の奥底……君に対して歪んだ『劣等感』を抱いている。そして、近く彼は甘い罠……女性の魔手に落ちる予兆がある。君の帰還が、その歪みを加速させるかも知れない。サンジの動向には、くれぐれも気を付けてくれ」
「……あのクソコックが、か……」
右手で頭を搔くゾロのその目は、笑っていない。
「ゾロ、幸い君の正体は奴等に知られていない。暫くは仲間にも教えない事……いいかな?」
「ああ、判った。サンジの事は心配すんな……なんかあったらぶっ飛ばしてやるからよ」
ゾロの力強い返答に、大魔王が頷いて微笑んだその時、エントランスからロキが姿を現した。
「よお、Brother!戻る準備は出来てるか?」
「おれは何時でも戻れるが……お前、一体何してたんだ?」
「一足先にサニー号へ行って『土産』を仕込んで来たんだ。船をお前の同盟軍みたいなのが守っててよ、話付けるの大変だったぜ」
「土産だと?何を置いて来たんだよ」
「そいつは戻ってからのお楽しみだ……それとな、こいつを渡しておくぜ。受け取れよ」
ロキが放り投げたのは、薄い金属板で出来た機械……最新式のスマートフォンだった。
ゾロはそれをキャッチすると、怪訝そうに黒い画面を見詰めた。
「……スマホって奴か……向こうの世界にゃ電波なんて飛んでねえぞ」
「電波がなくても、マグネタイトがある。空気中に漂うマグネタイトを媒介にして通信する術式を、ルシファー様とおれ達で完成させたんだぜ。こいつはおれからのプレゼントだ……そいつには、おれが厳選した最高のメタル・プレイリストもぶち込んであるから、ちゃんとチェックしてくれよ」
ロキはゾロの隣に並ぶと、手慣れた手付きで音楽の再生方法や通話の手順等を教えた。
一通りスマホの操作を教わったゾロは、コーヒーを飲み干すと徐に立ち上がる。
「さて……そろそろ戻るとするか。ルシファー、ロキ、色々世話になったな」
「もう行くのかい?」