第15章 ・決意
「お帰り、ゾロ。そして案内役、大義だったね、ロキ。トウキョウはどうだったかな?」
「いや、トウキョウはムチャクチャ楽しかったけどよ……遅くなっちまって悪かったな」
そう言い苦笑するゾロに、ルシファーは笑顔を見せる。
「いや、いいんだよ。楽し過ぎてきっと遅くなると思っていたから、君の青い星へ戻る時間は、最初から午前二時から四時の間って、伝えてあるんだ……本当に楽しんでくれたみたいで、僕も嬉しいよ」
「……なんだ、そうなのかよ。なら、あんなに急いでコイツを叩き起こす必要もなかったな」
ゾロは苦笑いを浮かべ、未だに酔いの醒め切らないロキの顔を見ながら、ソファーに腰を下ろした。
手にしているショッピングバッグの中から箱を二つ取り出し、ルシファーに言った。
「ルシファー、これ、お前に……『トウキョウばな奈』と『トウキョウひよ子』って奴なんだけどよ、知ってるか? ロキの野郎が美味いって薦めるからよ、お前に買って来たんだ」
ゾロは、大魔王の自室には似つかわしくない可愛らしい黄色いバナナのイラストと、これまた可愛らしいひよこのイラストが描かれた箱を、ガラステーブルの上に置いた。
「ふふっ……嬉しいよ、ゾロ。トウキョウの定番の味だね。僕ね、実は甘いものには目がないんだ。ニンゲンの作るスイーツは、本当に魅力的なものばかりだからね」
少年姿の大魔王は、瞳を輝かせて箱を受け取った。
その無邪気な様子にゾロが呆気に取られていると、ロキが少々ふらふらしながら、大魔王に切り出した。
「閣下、出発迄時間あるなら、ちょっと用意したいものがあるんで、部屋に戻っていいすか?すぐ戻って来ます」
ルシファーが笑みを浮かべつつ無言で頷いたその瞬間、ロキの足元に青白い魔法陣が展開され、彼の姿は光と共に一瞬で消え去った。
「あいつ、用意って、何を用意しに行ったんだ……?」
ゾロは小首を傾げつつ独り言を呟きながら、元の世界に戻る為の準備を始めた。
その姿を見たルシファーは思い出した様に、彼に言った。
「そう言えば、アドラメレクから君に渡して欲しいと、預かっていたものがあるんだよ」
その名を聞いたゾロの背筋に一瞬悪寒が走った。
彼はその悪寒を振り払う様に、少し大きな声を出してみる。
「あぁ?ウマサンバオカ魔野郎だとお!?」