第15章 ・決意
「ハッハッハ……ストレートにシビアな事言うねえ! だがこの街の連中は、魔王がその辺のコンビニに並んでる日常に慣れちまってるのさ。それに……おれの命を狙う刺客だって、おれのライブの最前列で、アタマを振って叫んでる位なんだぜ。トウキョウは、そんな街なんだ」
ロキの答えに、ゾロは無言で頷き口端を上げた。
そして、ロキの目を真っ直ぐに見据える。
人間が創った神話が語る『トリックスター』の姿ではない……誠実にゾロを案内し、ギターの道へと導いてくれた男の目を。
「……ロキ。おれは、おれが信じた奴の言葉しか聞かねえ。だからこそ……お前に一つ、頼みがある」
低く静かなその声に、ロキが真剣な眼差しで応える。
その男の目を見詰めたまま、静かな口調で続けた。
「……このトウキョウを、万が一の有事の時は、あいつ……ナホビノと一緒に守ってくれ。おれは自分の世界に帰るが……また何時か、仲間を連れてこの街に来てえんだ。その時に、この酒と、この景色が残ってねえと困るからよ」
ロキは誠実な魔王としての表情を見せ、力強く頷いて自分の杯を掲げた。
「……約束するよ、Brother。この街は必ず護るぜ。お前は……自分の海で世界一の大剣豪になって、またここに戻って来い、必ずな」
ロキの頼もしい言葉に、ゾロは頷き、彼の杯に自分のグラスを静かにぶつけた。
食事が終わり、玉川 Ice Breakeも空になる。
しかしまだ飲み足りないゾロは、目の前にあるメニューに手を伸ばした。
「……『The Lemmy』……?これ、昨日行ったバーにもあったぜ。気になってたんだけどよ、これ、コークハイの事だよな……?」
ゾロの呟きに反応する様に、ロキが笑って答える。
「Brother、そのコークハイは、今は亡き『レミー・キルミスター』って、ロックのレジェンドが考案したカクテルなんだ。三十から六十ミリリットルのジャック・ダニエルってウイスキーを、三百ミリリットルのコーラで割って、レモンの皮、若しくはレモンの果汁を入れて作るんだ」
「……ロックのレジェンドか……」
「そう、ムチャクチャカッコいいロックンロール演ってたんだぜ。まあ……姉ちゃんとの絡みの歌詞が多いけど、そんな曲ばっかりじゃねえしな。おれも影響された位、本当にカッコいいロック演ってるバンドなんだ」
