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魔王之死刀

第14章 ・新境地


 棚に並ぶ音源の中から、ゾロの魂を震わせた、あのバンドのアルバムを探し始める。
 
「ええと……あったあった、これだ。Brother、ここに並んでるのが、あいつ等のCDだぞ」

 その一枚を手に取り、ゾロに見せた。
 ​差し出された一枚のジャケットを、彼は凝視する。
 魔王が乗る玉座を担ぎ、血の海を渡る下僕達。
 そこに描かれた不気味な光景は、これから彼が目にする……いや、彼自身がこれから創り出して行く、殺伐とした世界そのものの様であった。

「……いいねえ、おれにピッタリの面構えじゃねえか……へっへっへ……悪くねえ」

 ​ニヤリと笑うゾロの瞳の奥が、ギラギラと輝いた。
 この中に、彼の魂を震わせた『斬る音』が封印されているのだ。

​「そのバンドは勿論、他にもお気に入りのバンドや曲を見付けて、それを弾ける様になればいいな。練習する時は色んな曲を弾いた方がいいからな」

「ああ……イヤって程聴き捲って、練習して練習し捲ってやるよ。刀と同じだ、必ずおれの『型』にしてやる」

「ハハハッ……楽しみにしてるぜ。他にも、これは聴いておいた方がいい、ってバンドのアルバムも沢山あるから、それもついでに買うといい。Brotherが好きそうな奴を、おれがチョイスしてやる」

 ゾロは、ロキお薦めのバンドのアルバムを一枚ずつ手にして行った。
 メタルジャンルは関係なく……​気付けば、その手には重なったのは十五枚のCD。

「まだまだ沢山お薦めアルバムはあるんだけど……取り敢えず、今回はそれだけ買っときゃいい。気に入ったら、他のアルバムも買えばいいさ」

「ああ、そうするよ」

 ロキの言葉に、ゾロは笑って答えた。
 CDショップを出ると、太陽は何時の間にか西に傾き、高層ビルの影が更に長く伸びていた。
 ゾロの左手にはギターケース、その右手にはユニフォームとCDが入った紙袋。
 ロキの手には、拳銃の入ったレザーバックと先程購入したレザージャケット、マグナムブーツ、そしてゾロの脱いだジーンズが入ったショッピングバッグがぶら下がっていた。
 薄暗くなり始めたシブヤの街に、ネオンが灯り始めて行く。
 トウキョウの光はゾロにはまだ少し眩しいのか、呟く様に言った。

「ロキ……悪りぃんだけどよ、ちょっと、これ持っててくれ」
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