第14章 ・新境地
そして、何度も屈伸をしたり、刀を抜く際の足運びを確認する。
「……脚の動きに少しクセが出るが、踏み込みは悪くねえ。ブーツのグリップもなかなかいい感じだ。しかしやっぱり、革は履き始めは痛えな……慣らしてからじゃねえとダメだな」
戦闘時の動きを真剣に確認するゾロの姿に、ロキはただただ呆れていた。
「……Brother、これは戦場じゃなく、街に繰り出す時とか、ライブで着るもんだぜ……ま、お前に取っちゃあ、どっちも同じか……」
と、丁度そこへ通り掛かった店員が、微笑みながらゾロに声を掛ける。
「いらっしゃいませ。お客様、とてもお似合いですよ。もしかして、モデルの方ですか?」
その言葉に、ゾロは気不味そうに視線を逸らし、ロキは満面の笑みを浮かべた。
「ほらよ、言われたぞBrother!」
「……もういいだろ。これ買って次行くぞ」
「何だよ、やっぱ、気に入ってるんじゃねえか」
「う、うるせえっての……」
否定するゾロの顔は、ほんのりと赤くなっていた。
結局、代金は言い出したロキが支払った。
彼は店員にタグを切って貰う様に頼むと、ゾロに急かす様に言う。
「ほら、Brother……折角だからよ、パンツ履いてったらどうよ。ちゃんとサングラスも掛けてよお……」
「……お前、本当いちいちうっせえなあ……」
「お客様、着て行かれるのでしたら、是非試着室をお使い下さいませ」
「え?……あ、ああ……まあ、そうさせて貰うか……」
店員の言葉に眉間に皺を寄せつつも、購入したばかりのレザーシリーズを手に、再び試着室へと入って行った。
そしてまた数分後……。
レザーシリーズを身に纏ったゾロが、レジの前に現れた。
ほぼ黒一色に包まれた全身に、ダークブルーのTシャツと緑色の短髪が綺麗に映え、腰の三振りの刀も自然と馴染んでいる。
「うおおっ……!やっぱりキマってるじゃねえか、どっかの雑誌のモデルみたいだぞ」
「お客様、大変良くお似合いですよ。背も高くて、体もしっかり鍛えられていらっしゃる様で、本当にモデルさんみたいで、素敵ですよ」
ロキと店員が気恥ずかしい事を言うので、ゾロは顔を真っ赤にしながら、荷物を手にするなり足早に店を出てしまった。
「おいこらっ、先に行くんじゃねえ!お前、この辺全然知らねえだろ!!」