第14章 ・新境地
「あのなあ……お前を『改造』する為にここに来たんだぜ、メタルのギタリストなら、革の一つや二つは持っとくもんだ。ほら、何センチよ」
ロキの『ギタリスト』と言う言葉に、ゾロは思わず反応する。
彼は眉間に皺を寄せたまま、俯き加減でポツリと答えた。
「……二十八・五だ……」
ロキは満面の笑みを浮かべ、ブーツコーナーへ向かう。
待たされている間、ゾロは傍にあるレザーベルトに目を遣ると、何気なく手に取って見始めた。
と、そこへ……。
「おっ、ベルトも欲しいのか?なかなか判ってるじゃねえか!」
「そうじゃねえ、暇だから見てただけだ」
「まったまた、そんな事言いやがって。本当は興味ありありなんだろ!よし、おれがこのレザーパンツにピッタリなのを見繕ってやる」
「……パンツも選んだのかよ……」
「当たり前だろ。それからほら、サングラスもな」
彼が見付けて来たのは、Schott NYCシリーズのストレートレザーパンツにマグナムブーツ、そしてレイバン・ウェイファーラーのサングラス。
全身黒一色の、渋い男の為のチョイスであるが……ゾロの表情も、相変わらず渋いままだった。
「……お前、絶対おれで楽しんでるだろ」
「そりゃあ、楽しいに決まってんだろ!さあさあさあ、そこに試着室があるから着てみろよ!!」
「あのなあ……おれは、着せ替え人形じゃねえんだぞ」
ゾロはブツブツと文句を言いつつ、試着室へと入って行った。
数分後……。
再び試着室を出て来たゾロを見て、ロキは思わず口端を上げた。
黒のレザージャケットに黒いレザーパンツ、シルバーバックルのレザーベルト、顔にはレイバンの黒いサングラス、そして黒のマグナムブーツ……その姿は、圧倒的な存在感を放っていた。
ロキは満足げに腕を組む。
「ほらな、Brother!お前みたいなのがCool……いや、Badassって言うんだよ!!ムチャクチャ似合ってるじゃねえか!!凄えWildで……強え男の風格って奴が漂ってるぜえ!!」
ロキの大袈裟な褒め言葉に、ゾロは呆れつつ軽く溜息を吐いた。
しかしそんな彼の表情に、満更でもなさそうな笑みが一瞬、浮かんだ。
全身をレザーに包んだゾロは、ジャケットの厚みを改めて確かめる。
「まあ……悪くねえな。ちょっとした刃なら通さなそうな強度だ」