第10章 ・対極
ゾロの目に、鋭い光が走る。
胸の奥に、嫌な予感が微かに過ぎった。
「その名乗った奴って……」
「ああ、ベテルの残党……皆は『四文字の残党』って呼んでる。全く迷惑な話だよ……今は目立った行動は起こしてない様だが、陰で加担してる人間もいる位だ。兄ちゃんも魔王族とは言え、気を付けるこった」
ゾロの舌打ちが、静寂を斬る。
トウキョウの影に潜む残党……いずれは、殲滅しなければならない。
だが、この世界の王はナホビノ。
彼の事だ、何かしら手は打ってあるだろう。
「……まあ、今は大人しい様だが……ところで、魔王族ってよ、どうやって身分を証明するんだ?」
ゾロの問いに、オーナーはニヤリと笑って答える。
「タリスマンとか、シジルだよ。兄ちゃんも持ってるだろ?魔王族も七十二柱も、それぞれが一つずつ持ってる。それを提示してくれれば、コンピューターで照会出来る仕組みになってるんだ。試しにやってみるかい?」
「へえ……こいつが……」
ゾロはジーンズのポケットから、死刀のタリスマンを取り出した。
漆黒の輝きが、射撃場のライトを受けて微かに光る。
オーナーは低く唸り、思わず息を飲んだ。
「おお……今迄何十ものタリスマンを見てきたが、こんな摩訶不思議なものは初めてだ。他のものよりも重厚、黒いのに光を吸わずに反射する……兄ちゃん、実は飛んでもない魔王様なんじゃないのかい?」
「流石はおれのBest Friendだ!実は、Brotherはよぉ……」
話す気満々のロキを、ゾロは無言で後ろへ押しやり、代わりに口を開いた。
「……別に、おれはごく普通の魔王族だぜ。そのタリスマンも、ただの身分証……飛んでもない魔王なんて言葉が似合うのは『あのお方』位なもんだろ?」
言い終えると、ゾロはニヤリと笑った。
その瞳の奥に、誰も知らない闇が一瞬だけ、光った。
結局、ゾロはグロック26、コルト・アナコンダの6インチ、S&W M327R8を一丁ずつ。
そして、右腰に刀を差している彼は、左利き用のコルト・アナコンダ専用レッグホルスターを一つ購入した。
オーナーはゾロの事が気に入ったらしく、割り引きした上、丁寧にレザーバッグへ収めてくれた。