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蜘蛛の愛し仔

第1章 ハジマリ×ト×デアイ


***
ここはザバン市
街の賑やかさと胡散臭さが表裏一体で混在する発展した街だ。

「わぁ!凄い!」

賑わう屋台にエレノアは珍しいものを見るように目を輝かせる。

「あらお嬢さんはこういった街は初めてなの?」

ナビゲーターの娘さんはキラキラと目を輝かやかせるエレノアを見てクスと笑う。
彼女にとっていつもの日常はみんな過保護で廃墟の一室で監禁か流星街の隠れ家が当たり前だったからだ。

「はい着いたわよ。ここがハンターの試験会場。」

そう言って指さされたのは都市化した街に似合わない寂れた定食屋だった。
まさかここがハンター試験の受験会場なんて誰も思わないだろう。
中に入ると強面の店主と数人の客がいた。
案外と賑わっているらしい。

「奥の部屋空いてる?」

「ご注文は?」

「【目から鱗が落ちるステーキ定食1つね!】」

「あんたがかい?」

「いいえ。こっちの子よ。」

「そのお嬢ちゃんがかい?」

「はい。そうです!」

ナビゲーターの背中から顔を出したエレノアに店主は目を見張る。
それもそのはずだ。彼女の容姿はお世辞にも成人しているようには見えず、まだ10代のしかもまだ前半の少女のように思える。実際彼女の年齢は今年で12歳だ。
しかし老人のような白髪の髪に夜の月を写したような金色の瞳で彼女を見た人達はきっと全員が美しいと言うだろう。

「焼き方は?」

「【弱火でじっくりコトコト飽きるまで。】」

「あいよ!奥の部屋に1名様ご案内!」

混雑している店の通り道を抜け、奥の部屋へと通される。
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