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蜘蛛の愛し仔

第1章 ハジマリ×ト×デアイ


ボクには何も無い。

生まれた意味も生きてる意味も価値がない

ボクの心の中には何も無い.......

生まれた時からずっとそうだった。

白い壁と与えられる暴力だけがボクの世界の全てだった。

心を持っちゃいけない

ボクはただの道具で商品でなくちゃいけない。

でもひとつ願えるとしたら...帰れる場所が欲しい

「オラッ!いつまでも寝てんじゃねえぞ!クソガキ!」

────ガンッ!

「カハッ!」

寝ているといきなり檻に入ってきた男が目覚めの一発にと腹を蹴りあげる。

「ヒュー!朝一発目に腹蹴りとかやるなお前。」

「こうでもしないと起きないだろ?なぁ!?」

男は乱雑にボクの髪を掴みあげる。
痛みで声を出せないでいると、タバコを吸っていた見張りが声をかける。

「おいおい。そいつ今日競売にかけんだろ?あまり痛めつけんなよ。大事な角に傷でもつければクレーム入るだろうが。」

「いいんだよ!これは躾だからな?」

─────ゴンッ!

振り上げられた拳が頬にあたり、痛みと共に脳が揺れる感じがする。何発殴られただろうか。不意に男の手が止まった。

「あれ?そういやぁ、こいついくつだっけ?」

「確か6歳だな。生まれつき奴隷だから歳なんて気にされたことはねぇが...何でだ?」

「いや、いいこと思いついてさ!年齢の数だけ板打ちしようかなって思って。少しでも抵抗力をなくしとくためにな!!」

振り上げられる板にボクは怯えたように身をかがめた。
目を瞑り、痛みに怯えていると来るはずの痛みが来なかった。
何故だろうと恐る恐る目を開くと目の前にいた男の首が転がっていた。
咄嗟に顔を上げると髑髏のネックオーマーを着けた神様が立っていた。

「お前...生きたいか?」
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