第7章 君に負けたくない
「まず、麗日さんの“無重力”で私たちの機動力を最大限にして、星野さんの身体強化で補佐。
常闇くんは最前で“黒影(ダークシャドウ)”による防御&突撃対応…」
彼の考えはもう戦いの中にある。
私は小さく笑って、手を挙げる。
『私、力使うよりも瞬発の身軽さでサポートしようか? 一応、空中制御は効くし、何か飛んできても私が盾になるよ』
すぐに、緑谷くんが少し強い声で遮った。
「いや、それは俺がやるべき…!」
その一瞬の顔が、すごく真剣だった。
だけどすぐに、目を伏せて小さな声で続ける。
「……でも、ありがとう。すごく、心強い」
まっすぐなその言葉に、胸がじんとした。
すると常闇くんが、咳払いをして言った。
「……一つ忠告だ。無策でいれば、爆豪も轟も、容赦なく来るぞ」
その二人の名前を聞いた瞬間、私は自然と緑谷くんの目を見る。
そして、彼もまた、私を見ていた。
『うん、なんとなく分かる』
「……はい、僕も、何となくだけど」
お互いに少しだけ苦笑して、それからすぐに視線を前に戻す。
お茶子ちゃんが、ぐっと拳を差し出した。
「とにかく、チーム緑谷でがんばろうっ!」
その拳に、常闇くんが迷わず手を重ねる。
私も、自然と手を重ねた。
そして最後に――緑谷くんが、そっと、でもしっかりと拳を重ねた。
「守り抜く。そして、勝とう。僕たちのやり方で――!」
「「「おーっ!」」」
声は小さかったかもしれない。
でも、気持ちは、誰よりも強かった。
私たちはきっと、この瞬間からもう――“チーム”だった。