第24章 想いを、繋ぐために
地上に降り立った瞬間──
視界に飛び込んできたのは、ボロボロのヒーロースーツをまといながらも、しっかりと立っているヒーローたちの姿だった。
誰もが疲れ切っていた。でも、確かに生きていた。
その中に、私はすぐにふたりを見つけた。
『…勝己、焦凍…っ!』
気づけば、身体が勝手に動いていた。
足元を蹴って駆け出して、少しだけ浮かび上がって──
勢いのまま、ふたりに飛びついた。
「……おわっ!?」
「……っ、想花?」
驚いたように声が重なる。
でも、すぐにその腕が私を受け止めてくれた。
懐かしい体温。変わらない力強さ。
『……よかった……っ』
涙が浮かんだ。だけど、それ以上にあふれてきたのは、嬉しさだった。
こんなふうに、また会えるなんて。
ふたりとも──変わらず、そこにいてくれて。
2人の腕の中で、私は声にならない笑いを漏らした。
『……ほんと、ふたりとも無事で良かった』
しばらくそうしていた私たちの元へ、軽やかな羽音とともに近づいてくる気配があった。
「──あー……そろそろ、そのへんにしといてくれん?」
軽やかな羽音と一緒に、ホークスが降りてくる。
くしゃっと笑って、私の肩を引き寄せながら、軽い調子で続けた。
「いつまでも仲良しごっこされると、焼き鳥になるんやけどな〜俺」
すかさず、勝己が眉をひくつかせてにらみつける。
「勝手に燃えてろ。誰も止めねぇよ」
その言葉に、ホークスはちょっと肩をすくめて笑った。
「うわ〜、バリ冷たいじゃん。愛がねぇなあ、ほんっと」
「うるせぇ!!テメェにだけは一生注ぐ気ねぇからな!!」
「えっ、告白?? え、いま振られた??」
「ブチ殺すぞ!!!」」
そのまま取っ組み合いになりそうな勢いで食ってかかる勝己。
ホークスはひらひら羽で交わしながら、さらに楽しそうに煽ってくる。
その様子を少し離れた場所で眺めながら、私は小さく笑った。
『……ホークス、なんか……子供みたい』
隣の焦凍も、口元にわずかに笑みを浮かべて呟く。
「……あっちも、だいぶ子供だけどな」
『……ふふ、確かに』
ふたりのやり取りがあまりにいつも通りで、
何だか胸があたたかくなる。
そう──
全部が、ちゃんと“戻ってきた”。