第20章 仮面と素顔
あの日以来、
トゥワイスとトガには――やたら絡まれている。
きっかけは、あの“仲間”発言だった。
別に私は、仲間になったつもりなんてない。
なのに彼らは、そんなことお構いなしに、毎日のように話しかけてくる。
……というか、もはや無理やり距離を詰めてくる。
そして今日も、気づけばこうだ。
「こっちですよ〜♡」
『ちょっと……また何ですか』
「へいへい!悩むより体が先だ!行けばわかるさ!」
トガに手を引かれ、トゥワイスには背中を押され、
私は抵抗らしい抵抗もできないまま廊下を連れ回されていた。
(……ほんとに、何なんだこの人たち)
でも不思議なことに、嫌ではなかった。
慣れてしまったのかもしれない。
……少しだけ、ほんの少しだけ。
そして、案の定連れてこられたのは――
広めの一室。
一見、会議室のようでもあるけど、テーブルの上には――寿司。
一瞬、思考が止まった。
テーブルのまわりには、見慣れたヴィラン連合の面々がそれぞれのスタイルで集っている。
ソファでは、荼毘が背もたれにぐったりと体を預けている。
足は投げ出して、まるで興味なさげに遠くを見ていた。
それでも、目元だけはどこか退屈そうに周囲を観察している気配がある。
その前のテーブルには寿司がズラリと並べられ、
スピナーはそれを真面目な顔で一貫ずつつまみ、
コンプレスは相変わらず優雅な手つきで箸を動かしていた。
『……ここ、何の部屋ですか』
私がそう問いかけるより先に、トゥワイスが振り返る。
「ようこそ!連合のごはん会へ!ウェルカムだぜカゼヨミ!」
『いや、私は……』
「遠慮はノンノンノンだって!俺たち仲間だろ!?ほら座れよ!」
トゥワイスはもうすでに私の肩をがしっと掴んで、
その勢いのまま、空いていたソファへと半ば無理やり押し込んできた。
私は体勢を崩しながらも、結局、席に着かされてしまう。
『……なんなんですか、もう』
小さくぼやいたけど、隣のトガは相変わらず上機嫌で、
目の前ではトゥワイスが「さぁ食え!寿司だぞ寿司!」と皿をすすめてくる。
(……どうして、こんなことに)
けれどその思いとは裏腹に、部屋の空気はどこかぬるくて――
ほんの少しだけ、懐かしい。