第18章 きみの隣、それがすべて
会場side
屋外特設ステージの上。
ミス・雄英コンテストの開幕に、観客席は熱気と期待に包まれていた。
出場者たちが次々に登場し、そのたびに歓声が上がる。
豪華な衣装。慣れないスーツ姿の男子生徒たち。
青春の一幕がそこにあった。
「続いての登場は――1年A組、想花さん!
エスコートは轟し……!?!?!?ちょ、ちょっと待って、えっ……ホ、ホークス……!?」
司会者の声が一気に裏返った。
一瞬、誰もその言葉の意味を理解できず、場が静まりかけた。
だが次の瞬間――
「え!?今ホークスって言った!?」
「本人!?本人じゃない!?」
「てか、あの翼!?マジで本人やん!!」
「なんで!?ミスコン!?ステージ!?意味わからんけどかっこよすぎ!!」
歓声が悲鳴に変わり、ステージを埋める視線が一斉に二人に集中する。
彼女は、深い青のドレスに身を包み、
隣に立つのは、ダークネイビーのスーツに赤い翼を背負った男。
――No.2プロヒーロー、ホークス。
堂々とした足取りで彼女をエスコートしながら、
彼は軽く帽子を傾け、余裕の笑みを浮かべていた。
ざわめく観客席の上段、教員席。
相澤は手を組みながら、その光景を見つめていた。
「……あれを許可したやつは誰だ」
とぼけたように呟くが、その目元は少しだけ細められている。
隣でマイク先生が声をひそめて叫ぶ。
「えっ!?なんで!?ねえ、ホークス!?なんでここに!?これドッキリ!?」
「さあな。……でも、まあ。アイツらしい」
相澤はそう言って目を逸らす。
彼だけが、知っている。
ふたりが、どうしようもなく惹かれ合っていることを。