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【ヒロアカ】re:Hero

第12章 あの日の夜に、心が還る


爆豪 side

……なんだ、これ……

気づいたときには、身体が動かなかった。
視界は真っ暗で、何も聞こえない。
でも、わかる。何かに“閉じ込められてる”。

「っく……!」

暴れようにも、力が抜けていく。
まるで、自分の存在そのものが小さな何かに凝縮されたような……そんな感覚。
これが、ヴィランの個性……かよ。

ムカつく。ムカつく。ムカつく――!!

目を開けたとき、見えたのは暗い空と、ねじれた木々。
そして、何かが首に触れていた。

「っ……!」

首元に絡まる異物――手だ。
目の前には、見たことのないヴィランの顔。

「へぇ、暴れるなよ……商品なんだからさ」

……商品、だと?

ふざけんな、クソが。

「おい……手ぇどけろコラ……!!」

怒鳴ろうとした瞬間、空間がぐにゃりと歪んだ。

視界が跳ねた次の瞬間、何かが爆ぜるような光に包まれて――
気づいたときには、地面に尻もちをついてた。

「かっちゃん!!」

声がした。振り向いた先に、デクがいた。

「お前……なんで、ここに……っ」

「星野さんが……君を戻してくれたんだよ!!最後の個性で……っ!!」

……え?

頭が、少しずつ情報を繋ぎ始める。

ビー玉の中に捕らわれた。
そして、想花が……俺を、戻した……?

視線を上げた先。
遠く、ワープゲートに呑まれていくヴィランの一団――

その中に。

「…………」

いた。

抱えられていた。炎の男に。

動かなかった。――動けなかった。

俺を、助けて。
そのためだけに、全てを振り絞ったあいつの背中が、消えていった。

「……バカが……」

拳を握る。血が滲むほど、強く、強く。

こんな結果、望んでねぇよ。
こんな結末――

「誰が……てめぇに助けてくれなんて言った……!!」

震える声が、風にちぎれた。

でも。

心臓の奥が、確かに……ひとつ、熱を持った。

「必ず取り返す。……俺が、俺の手で」

その時だけは、誰にも、譲らない。
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