第3章 ヒーローの初試練
個性体力測定が終わり、みんながグラウンドに再び集まった。
汗でびっしょり、疲れ切った顔には、ほっとした空気と緊張が入り混じっているのを感じた。
相澤先生が手に持った記録用紙をぎゅっと握りしめて、ゆっくりと私たちに視線を向ける。
「さて、体力測定の結果を発表する」
教室のように静まり返ったグラウンド。
ひとりひとりの名前と点数、順位が読み上げられていく。
――そして、私の名前が呼ばれたとき、胸が高鳴った。
『まず、今回の測定でトップの成績を収めたのは……星野想花だ』
「えっ!?まさか、私が!?」
周りのざわめきが一気に広がるのがわかった。
みんなの驚いた顔や声が耳に入る。
相澤先生は冷静に言った。
「誰もがその実力に驚いたようだな」
歓声や拍手の中、しかし最後に告げられた言葉が、私の胸を重く締め付けた。
「そして、“トータルで最も成績が悪かった者”は、除籍処分とする」
空気が一気に凍りついた。
視線が自然と緑谷に集まっていく。
先生が鋭く言い放った。
「緑谷、お前が最下位だ」
彼の声は震え、言葉が詰まっていた。
私は彼の様子を見つめながら、胸の中に熱い想いが湧き上がった。
(緑谷くん、ここで諦めちゃダメ。絶対に。)
相澤先生は一歩前に出て、声のトーンを落とし、続けた。
「だが、お前らにはまだチャンスがある。この先、何を見せられるかで未来は変わる。覚悟を決めろ」
その言葉に、緑谷の瞳に決意の光が灯ったのを、私はしっかりと見逃さなかった。