第8章 優しい休日
ゲームが一段落して、ベンチで一休み。
私はチュロスを頬張りながら思った。
(……こんなふうに笑える時間、久しぶりかも)
B組のみんなの明るさは、まっすぐで温かい。
その真ん中にいる自分が、少しだけ誇らしかった。
隣に腰かけてきた拳藤ちゃんが、ふっと笑う。
「な〜んかさ、想花って最初ちょっと近寄りがたいかと思ってたんだけどさ」
『えっ!?』
「だってさ、体育祭で目立ってて綺麗で強くて……“高嶺の花”って感じ?でもさ」
ポン、と軽く肩を叩いて、笑う。
「すごい、いいやつじゃん。これからも仲良くしよ!」
『……うん!私もそう思ってた!B組、ほんとに優しくて……うれしい』
そんな会話に、回原くんがひょいっと顔をのぞかせた。
「やば〜〜、今の青春っぽくてエモ〜……!」
『え、そこ!?』
「大事でしょ〜?ほらポテト食べなよ」
『……うん、ありがと。笑』
そこに鉄哲くんがどかっと現れて、笑いながら言う。
「想花の真剣な姿見て、俺も燃えたぞ!!あれはかっこよかった!!」
『そ、そんなふうに見えてたんだ……ありがとう』
そして物間くんが、やや遠くを見つめながらぼそっと呟く。
「……くっ……見た目も中身もいいとか……無敵かよ、君……」
『なんで若干怒ってるの!?』
「僕の輝きが……かき消される……!」
頭を抱える物間くんを見て、またみんなで笑い合う。
この空気が、すごく心地いい。
拳藤ちゃんが、ふいに手を差し出してくる。
「今度はボウリングとかどう?あたし絶対勝つからね!」
『よーし、挑戦受ける!』
手を重ねてハイタッチ。
キラキラと光る店内の中で、私たちは笑っていた。
それは、まるで宝石みたいな――
きらめきの瞬間だった。