第9章 雄英体育祭
轟「お前らが先生たちの何であろうと、俺は右だけでお前らの上を行く。時間取らせたな」
コミックなら主人公だ。
それほどの背景だ。
デクはそう思った。
そんな轟に自分が言えることは何もない、と。
しかしはその背中に声をかけた。
「お父さんに…縛られちゃダメだよ」
緑「あっ…!」
轟の足が止まった。
「お父さんを見返してやりたいって、そう轟くんは言ってたけど…縛られてるようだから左手を使いたくないんだろうけど…逆にそれは縛られている証拠だと思う…」
轟「…」
「それが解けて、轟くんが全力でぶつかってきたとして、受け止められない人たちじゃないよ。みんなは……。緑谷くんは…。もちろん私も」
轟「っ…」
「…それじゃあ、私はもう行くね」
は食堂へと向かった。
緑「僕は…ずっと助けられてきた…。さっきだってそうだ。僕は…誰かに助けられてここにいる…。笑って人を助ける…最高のヒーロー…。オールマイト…彼のようになりたい。そのためには…1番になるくらい、強くなきゃいけない。」
轟はずっと黙っていた。
緑「君に比べたら些細な動機かもしれない…。でも、僕だって負けられない。僕を助けてくれた人たちに応えるためにも」
デクは、オールマイトやお茶子、母親や蛙吹、爆豪や常闇、そして怪我を治してくれたの姿を思い浮かべた。
緑「さっき受けた宣戦布告。改めて僕からも。僕も君に勝つ」
轟は一度振り向くと、そのまま無言で去った。
そしてこの3人の会話を爆豪も物陰で静かに見ていたのだった。
爆「…」