第9章 雄英体育祭
こうしていよいよ体育祭の幕が開けた。
第一種目:障害物競走
一年体育祭主審のミッドナイトが説明を始める。
ミ「コースはこのスタジアムの外周約4キロ!我が校は自由さが売り文句!コースを守れば…何をしたって構わないわ!さぁ!位置につきまくりなさい!」
この言葉を皮切りに、皆スタートラインについた。
(こんな人数であの狭いゲートを潜るの…?いや…多分そこが最初の関門…あそこをどう突破するかで上位層は決まるんだ…さすが雄英…。よし、私は最初あれで突破しよう)
ブザーと共にミッドナイトのスタートの声が鳴り響いた。
(来た!)
はその音と共に姿を消した。
いや、小さくなりすぎてみんなの目には見えなかった。
ゲートを潜ろうとひしめき合う生徒の頬を風が撫で、微かな煌めきが先を行った。
と同じことに気づいていた轟は地面を凍らせ、後続する生徒をその場から動けなくし、飄々と走り抜けた。
マ「おっとおおお!先手を取ったのは轟!圧倒的な氷結で道を作り出したァァ!!」
しかしそれを読んでいたA組も後に続く。
八「甘いわ!轟さん!」
爆「そううまくいかせねぇ!半分野郎ー!」
轟「クラス連中は当然として思ったよりは避けられたな。んっ…?繋原がいない…?あっ!まさか!」
轟が少し焦りを見せると、実況の声が一転する。
マ「――と思いきやァッ!!ここで突如ッ!前方に姿を現したのは……繋原だァァァ!!!」
氷の道が続く中、その遥か先。
突如、空間の歪みが生じ――
「……再構成」
淡く光が瞬き、そこに現れたのは、繋原。
マ「な、なんと!いつの間にか轟を抜いていたァァ!!これはまさかの展開ッ!!」
会場全体がざわめく。
観客1「見えなかった……どこにいた?」
観客2「さっきまで姿なかったよな!?」
観客3「え、能力……やばくない……?」
プレゼントマイクが叫ぶ。
マ「さっすが特例枠ッ!!静かにして超ド派手なインパクトを残す女ッ!!雄英1年A組・繋原、現在ダントツのトップォォ!!!」
繋原は周囲の反応も、実況の声も背に受けながら淡々と進む。
(まだ、序盤。ここで浮かれてる場合じゃない)