第9章 雄英体育祭
いよいよ体育祭が始まった。
コスチュームが良かったと言う芦戸、予選はなんだろうと話す砂藤、緊張をほぐそうと手のひらに人と書いて飲み込む峰田、峰田の隣には深呼吸をするデクなど、控室は騒がしかった。
「意味ないよ、それ」
峰「またかよ!?だからお前音立てて近寄れって!心臓飛び出るかと思っただろ!」
はまた無視して顔を逸らすとニヤリと笑った。
(2度目のイタズラ成功…)
すると轟がデクとの方へとやってきた。
みな轟に注目する。
緑「轟くん…何?」
轟「客観的に見ても、実力は俺の方が上だと思う」
緑「えっ…う、うん……」
轟「けどお前、オールマイトに目かけられてるよな」
緑「あっ…」
轟「繋原、お前もだ。相澤先生に目かけられてるだろ」
「んんっ…」
轟「別にそこ詮索するつもりはねぇが…お前らには勝つぞ」
緑「あっ…」
「……」
上「おお?クラス最強が宣戦布告?」
すると切島が轟を止めに来た。
切「おいおいおい…急にケンカ腰でどうした?直前にやめろって…」
轟はそう言う切島の手を振り払った。
轟「仲良しごっこじゃねぇんだ。なんだっていいだろ」
「チーム戦があるかもしれないよ。そうなったら…」
轟「ヒーローは1人でも戦えなきゃ、意味ねぇんだよ」
「協力することだって必要だよ」
轟「甘ぇ…お前そんなんじゃいつか足元掬われるぞ」
轟はそう言って控室を出ようとした。
(ついこの前は一緒に戦ったのに…何かあったのかな…)
しかし緑谷の言葉が轟の足を止めた。
緑「轟くんが何を思って僕に勝つって言ってんのかは分かんないけど…」
轟は振り返った。
緑「そりゃ繋原さんはともかく…僕より君のほうが上だよ…実力なんて…大半の人に敵わないと思う…客観的に見ても…」
「緑谷くん…」
切「緑谷もそう言うネガティブなこと言わないほうが…」
緑「でもみんな…他の科の人も本気でトップ狙ってるんだ…。遅れをとるわけにはいかないんだ…」
デクは顔を上げた。
緑「僕も本気で取りに行く」
轟「おう」
「頑張ろう、緑谷くん」
このやりとりを見て、爆豪も静かに闘志を燃やした。