第8章 ヒーローになる理由
その日から皆それぞれ体育祭に向けての特訓を始めた。
筋トレするもの、知識を取り入れるため勉学に励むもの、個性を繰り返し使い鍛錬するもの。
三者三様であった。
はというと
(よし)
早朝5時
・10キロのサイクリングをマスクして行う
帰宅すると
・腹筋と腕立てを30回(筋トレ嫌い)
・10分の縄跳びを3セット
・入浴後のストレッチ
・筋肉をほぐすためのマッサージ
これらを行なっていた。
しかし体育祭に向けてのものではない。
が毎日習慣として行なっていることだった。
ある日、相澤が部屋を訪ねてきた。
コンコンッ
相「入るぞ」
「はい、鍵空いてます」
相澤がガチャリと入ってきた。
はストレッチを行っている途中だった。
相「またやってんのか」
「…私の能力は体が基本だから…最適化しても元々の筋肉や体がダメだったら最大限の力発揮できないし…」
はストレッチを終えた。
相「早朝のサイクリングもまだやってんのか」
「はい!サイクリングは楽しいのでもっと量増やそうかなと思ってました」
相「やめとけ。あんま遠くまで行くんじゃない。なら筋トレを増やせ」
「え…筋トレは嫌いなのでもう今が限界…」
相「フッ…冗談だ。今ので十分だろ。あんま負荷かけすぎるな」
「…はい」
相「それじゃあな」
「もう帰るんですか?」
相「様子見に来ただけだ。それと…」
は相澤の方を見た。
相「鍵開けっ放しにしとくな。あと確認もせずに人を入れんのはやめろ」
「でも寮だし…こんな時間に入ってくるのなんて相澤先生くらいだし…」
相「でもじゃないよ。何かあってからでは遅いから言ってんだ。俺が行ったら鍵閉めろよ」
相澤は再びじゃあなと言うと部屋を出た。
(心配…なのかな)
相(心配なんだよ)
いつもの訪問。
しかし確実に、そこには"特別"な感情が2人には芽生え始めていた。