第8章 ヒーローになる理由
「へぇ〜…」
(でもごめん!先生!私オリンピックもよく分からない!)
峰「テレビでもやってるじゃん見てねーのかよ」
「見てない」
みんなには少し申し訳なさそうに、恥ずかしそうに答えていた繋原だったが峰田には即答であった。
峰「なっ…なんで俺にだけそんな冷たいんだよーっ!!うわーん」
蛙「まぁ今までの言動見てたら、そうされても仕方ないわね」
「そんな凄いものに…私が…」
峰「無視かよ!!」
八「当然全国のトップヒーローも見ますのよ。スカウト目的でね!」
「スカウト…」
上「卒業後はプロ事務所に相棒入りがセオリーだもんな!」
耳「そっから独立しそびれて、万年サイドキックってのも多いんだよねぇ。上鳴、あんたそうなりそう、アホだし」
上「くっ…」
(サイドキックか…私は万年相澤先生のサイドキックでもいいな…)
は少しだけ、1人頬を赤らめた。
相「当然、名のあるヒーロー事務所に入った方が、経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれればその場で将来が開けるわけだ」
(すごい戦いになりそうだ…)
相「年に1回、計3回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ。その気があるなら準備は怠るな!」
A組「はい!」
(目指そう…一位…。私の価値を証明するために)
は心の中で固く誓ったのだった。
相澤の話が終わるとひそひそとこんな声も。
芦「ねぇ、体育祭……繋原さんまた“覚醒”しちゃうんじゃない?」
葉「うんうん、ていうか、クラスの中でもかなり注目株だよね?」
周囲で話をしていたクラスメイトたちも、その言葉にうなずき合う。
切「繋原が出るなら、マジで他クラスに負けてられないって思うわ!」
耳「最近、ちょっと表情柔らかくなったよね」
上「確かにな!」
そんなひそひそ声も、どこか親しみを含んだトーンだった。
もはや彼女は“特例枠”ではなく、れっきとした1年A組の仲間だった。