第7章 USJ
「……うそ」
一瞬の隙をつかれ、の腹部に重たい衝撃が走った。
脳無の拳が、の身体を薙ぎ払う。
地面を転がりながら、背中が焼けるように痛んだ。
「がっ…うっ……!」
息が詰まる。骨が軋む。
それでも、彼女は立ち上がる。
「先生には…近づかせないっ…!!」
視界がぐにゃりと歪んでも、崩れた膝に力を込めて。
「私が…守る…っ!!」
右腕が砕けかけていた。痛みはもう感じない。
それでも左手を構え、再構築しながら走った。
脳無の右拳が迫る。避けきれず、肩を砕かれた。
それでも、怯まなかった。
「っらあああああッ!!」
全身を使った一撃で、再び脳無の腹に打ち込んだ。
けれど、またもや無傷だった。
「ハァ…ハァ…なんで…なんで壊れないの……っ!?」
反撃は容赦なく、今度は顔面に──
脳無の拳がの顔をかすめた。
気づいたは拳を分解するが僅かに遅れを取った。
視界が一瞬、白く飛ぶ。
地面が近い。転がった。血が、にじむ。
緑「あぁ…繋原さん……」
「っく……がっ……うぅ……」
息が、うまく吸えない。
痛みはもう、熱さにも冷たさにも似ていた。
それでも。
「まだ…やれる…立って…私…」
誰の声でもない。自分の中の、声。
(先生は、まだ目を閉じていない…私がやらないで、誰が守るの…)
は膝に手をついた。
左手の指が2本、曲がっていなかった。
右足は感覚が鈍い。
体の奥が焼けているようだった。
すでに修復は追いつかない域に来ていた。
でも──脳無はまだ、そこにいる。
再び構える。崩れかけの腕を、立て直す。
「っ……まだまだっ……!!」
叫びと共に、再び突っ込んだ。
限界など、とうに越えていた。
自分の個性にすがって戦っていた。
光る拳が、脳無の肩口を削る。
だが、再生が追いつく。
また吹き飛ばされた。
今度は背中から壁に叩きつけられた。
激しい音とともに、ひび割れた壁が崩れる。
「……ッ」
倒れたまま動かない彼女を見て、死柄木が笑った。
死「終わり?もうやめる?」