第5章 戦闘訓練
「??どうしたの?」
緑「どうやったら…そんなに強くなれるの…かな…」
は頭にクエスチョンマークを浮かべた。
緑「繋原さんの個性にリスクがあるのは分かった。でもだからって、普通の人は冷静でいようって思っててもいれるものじゃないと思うんだ。…どうやったらそんなにずっと心を強く保ってられるの?」
「…そう見えてるんだ。緑谷くんには。でもね…全然強くないよ、私。冷静でなんていられてないし、さっきもずっと戦闘訓練のことで落ち込んでた。…本当はいつも怖くて震えてるよ。でもそれでも、前に進むしかないからさ」
"そう思って過ごしてるだけだよ"
はそう簡単に言った。
しかしデクには分かった。
そう簡単に言えるのは、簡単に解決できなかった、苦しみながら、もがきながら、進んできた過去があるからだ、と。
緑(きっと、それでも時間は止まってくれないって、痛感したんだ。だから繋原さんは…こんなにも強いんだ。ちゃんと"乗り越えてきた"人だから)
「私と似てるよ、緑谷くんは」
緑「え…?」
「緑谷くん、無個性だったんでしょ?」
緑「えっ!?い、いや…一体それどこから…」
「爆豪くん」
緑(かっちゃん…!!)
「…苦しかったでしょ。無個性のとき」
デクはその時思った。
なぜ個性を持つ繋原に自分の過去がわかるのだ?と。
緑(しかも珍しい最強に近い個性なのに…)
「個性を持つことをずっと願ってたんでしょ?じゃなきゃ今ここにいないもん」
緑「うん…」
「私は自分の個性が無くなることをずっと願ってた」
緑「え…」
「反対のようだけど、ずっと"出来ないことを願ってた"って点で、私と緑谷くんは似てるよ。だから、応援したくなるんだと思う。…緑谷くんを応援すれば、自分のことも応援してる気持ちになるから」
緑(繋原さん…君は一体どんな過去を過ごしてきたの…?)
「ごめん、少し喋りすぎたね。それじゃあ…また明日」
は片手をあげると今度こそ保健室を出ていった。
そしてデクの中には、の悲しそうな笑顔が残ったのだった。