第5章 戦闘訓練
教室に入るとようやく相澤が口を開いた。
相「…オールマイトさんから聞いた。今日の授業のこと。」
「……自信、無くしました…。元から失うほど、自信なんて持ってなかったですけど、でも…もっと無くしました」
相「大方予想はつくが、一応聞く。なぜだ」
「…人助けに…ヒーローに…向いてないな、って…」
相「……」
「私の個性は…誰かを救うんじゃなくて…傷つけてしまうだけなんじゃないかって…そう思いました」
相「はぁ…」
相澤は深いため息をついた。
相「さっき今日の戦闘訓練の映像を見た」
「……」
相「…よくやったな」
「え…?」
そんな言葉を相澤からかけられると思っていなかったは、間抜けな声を出した。
相「聞こえなかったのか?よくやったと言ったんだ」
「でも…私…怪我はさせそうになっちゃうし、私が迷ったせいで、轟くんまで負けさせちゃったし…」
相「あのまま行けば、お前は勝てた。その代わり八百万や切島は無事でいられなかっただろうな」
は相澤を見つめた。
相「お前が戸惑い、迷い、突っ込まないことを"選んだ"結果、あいつらは無事だったんだ。お前の判断は正しい。」
「先生…」
相「実際2人とも怪我してるわけじゃないし、轟も授業の戦いで負けただけで文句言うような奴じゃない。爆豪と違ってな」
相澤はフッと笑った。
それにつられの顔にも少し笑みが浮かんだ。
相「俺がいたら、お前が本気を出しても止められる。でも今回はいなかったからな。お前は間違ってないよ。ちゃんと判断しただけだ。そう自分を責めるな」
不思議だった。
がずっと抱えていたわだかまりは、相澤の言葉でスッと解けていくようだった。
「ありがとう…ありがとう先生…ありがとう…」
涙は流れずに済んだものの、そう言う声は震えていた。
そしてそこには全て込められていた。
そう言ってくれて、拾ってくれて、そばに居てくれて、見てくれて、そんな全ての意味が。