第5章 戦闘訓練
授業が終わると、はオールマイトに呼び止められた。
オ「繋原少女。少し、いいかい?」
「……オールマイト」
オールマイトは穏やかに目線を合わせた。
オ「良い戦いだった。……結果はどうであれ、ね」
「……私、ミスしました」
は静かに言った。手は膝の上で握られ、爪が皮膚に食い込むほどに力が入っていた。
オ「うむ。だが君は“止まった”のではなく、“選ばなかった”のだ。……そこには、理由があった」
「“誰かを傷つけたかもしれない”って思ったら、何もできなくなりました……。戦場でそんなの、ダメなのに」
オ「君は“怖い”と感じた。それは間違いではない。だが、そこから目を逸らさずにいた。……それが、ヒーローの原点だと私は思う」
「でもそのせいで……轟くんにまで…負けを背負わせました…」
オ「完璧な者などいないよ。私だって、今でも……“あの時こうしていれば”と何度も思い返す日がある」
は驚いたように顔を上げた。
オールマイトは、優しく、けれど芯のある声で続ける。
オ「君の“怖れ”は、君が“人を大切に思える”証拠だ。迷ったその瞬間こそ、君がヒーローになろうとした証でもある」
「…………」
その言葉に、胸の奥がひときわ熱くなる。
それでもまだの中のわだかまりは解けなかった。