第5章 戦闘訓練
モニター室。
戦いを映していた大型スクリーンには、「ヒーローチーム勝利」の表示が浮かび、緊張の空気がふっと緩む。
芦「うわ、思ってたよりガチだったね……!」
上「切島マジで真正面から突っ込んでったな、あれヤバくね?」
瀬「けど繋原さん、よく避けてたよな。てかあの動き、今までで一番鋭くなかった?」
飯「むしろ“止まった”のが惜しかった…あの一瞬で形勢が変わってしまった」
爆「チッ……なんで手ぇ抜いてんだよ。相手が誰だろうと潰しにいけ。……甘ぇよ」
緑「でも……繋原さん、八百万さんが足を痛めたの見て、咄嗟に止まっちゃったんだと思う。あれは……」
爆「あ!?うるせぇ!クソナードは黙ってろ!」
緑「えぇ…」
耳「でもさ……誰かを傷つけるのが怖いって、当たり前じゃない?私はそういうとこ、逆にヒーローっぽいって思うけど」
静かに交わされる言葉の応酬の中、画面に映るはうつむき、でも泣いてはいなかった。
切島や八百万に囲まれながら、ただ静かに、何度も頷いていた。
オ「……迷いは、時に力を鈍らせる。だが、迷える者こそ、真に強くなれる可能性を秘めている」
誰に向けたとも知れぬその言葉に、一瞬だけ室内が静まる。
緑「てか腕…すごく痛い…」
麗「今!?」
緑「うん…」
デクは無理が祟ったのか、そのまま倒れ保健室へと運ばれた。