第4章 個性把握テスト
放課後、生徒たちは次々と校門へ向かい、廊下には人気がなくなっていった。
は皆から少し遅れて教室を出た。
ふと、踊り場の窓から射し込む夕陽に目を細めながら階段を下りかけたそのとき──
?「……繋原」
低く落ち着いた声が背後からかけられる。
振り返ると、廊下の奥から相澤がゆっくり歩いてくるところだった。
「……先生」
振り返ると、相澤が、いつものように無表情で立っていた。
けれど、その声は少しだけ、優しかった気がした。
相「ちょっと、いいか」
は小さく頷き、先生の隣に並んで廊下を歩き始めた。
窓の外は、オレンジ色の光に包まれている。
しばらく無言が続いたあと、相澤が口を開いた。
相「…お前があんな風に出てくるとはな」
「…?」
相「緑谷のことだ」
「あぁ…」
怒られるかもな、と思った。
しかし返ってきたのは意外な言葉だった。
相「……ありがとな」
「え……」
相「“1人を救っただけでもヒーローだ”って。あれは……あいつには大きかったはずだ。…あいつにだけじゃないか。俺にもだ」
少し照れくさそうに俯いたまま、は返した。
「……私が言いたくて、言っただけです。先生が…私にかけてくれたみたいに」
その言葉に、相澤はふと目を細めた。
そして、歩きながら、何気ないふりでの首元にちらりと視線を落とす。