第4章 個性把握テスト
「たしかに、筋肉や骨、神経だって一度バラバラにして、最適な形に“作り直す”ことはできる。自分にも、他人にも」
爆「じゃあやっぱり無敵じゃねーか!!」
「でもね、それには“代償”がある。怪我や病気の修復には膨大なエネルギーが必要で、何度もやればすぐに動けなくなる。集中力が切れたら、体の中に戻す順番すら分からなくなる」
爆「はぁ?」
「例えば……分解した状態で気を失えば、また意識を取り戻すまで、その組織は元には戻らない。バラしたまま“壊れたまま”になる」
沈黙が落ちる。
爆「なら意識さえ戻れば元に戻せんだろ!」
「うん……戻ればね。でももし、私が自分や誰かを見えないレベルにまで分解してそのまま意識を失って戻らなかったら…死んでしまったら、もう骨も残らないんだよ」
小さな声だったが、その場にいた誰もが聞き逃さなかった。
爆「……」
「この個性を使うには、私の"意識"が重要になってくる。それを安定して保つことができないと、元通りに修復は出来ないし、想定外の分解をしてしまうことだってある」
爆豪は眉を寄せた。
「だから万能なんかじゃない。むしろ、すごく不安定な能力なんだよ。だから、むやみやたらに全力では使えないの。だから私はいつも冷静でいなきゃいけないの。それだけの理由があるんだよ」
爆「…んだよ…チッ…クソが!」
爆豪はそのまま去っていった。
上「…むっず…よくそんな個性あんなに使いこなしてるな…」
切「精神力かなり問われるよな…」
耳「本当だよ…でもなんか…同じ人間なんだって、親近感湧いたかも」
爆豪の背中を見つめながら、少しずつを理解する空気が生まれたのだった。