第13章 林間合宿
筋繊維は酷使することにより壊れ、強く太くなると言われている。
個性もそれと同じように、使い続ければ強くなり、そうでなければ衰える。
つまりこの強化合宿でやること、それは限界突破だった。
轟は炎と氷を交互に出力し続け、風呂の温度を一定にする。
凍結に体を慣れさせ、炎の温度調整を試みる特訓。
2つの個性を同時に出せるかも。
轟「……はぁ…はぁ…ふっ!」
爆豪は熱湯に両手を突っ込んで汗腺の拡大、および爆破を繰り返して、規模を大きくする特訓。
爆発するたびに轟音と爆豪の叫び声が響いた。
爆「うぁぁぁ!クソが!」
蛙吹は全身の筋肉と長い舌を鍛える特訓、お茶子は無重力で回転することによって三半規管の鍛錬と酔いの軽減、また限界重量を増やす特訓。
常闇は暗闇で暴走するダークシャドウの制御を、洞窟の中で無理やり続けていた。
爆発、轟音、悲鳴、指示──全てが混じり合う中で、誰一人として、手を止める者はいなかった。
そして、その崖の少し外れた場所。
は、裸足で立っていた。
足元の地面を、彼女は両手をついて見下ろす。
「……いくよ」
その瞬間、の足元の地面が、砂粒のようにハラハラと分解されて浮遊した。
一気に足場が崩れるかのような感覚。しかし、彼女の視線が地面を捉えたまま、すぐに同じ形状で地面が再構築される。
再び、分解。再構築。分解。再構築。
その繰り返しは、一見すればまるで何も変わっていないように見える。
だが彼女の額からは、大粒の汗がこぼれ落ちていた。
(遠い部分を分解するには、すごく神経を尖らせないといけない。…再構築も、集中を切らした瞬間に全部壊れる)
崖という巨大な物体に触れながら、目で追える限界以上の範囲を操作する。
自分が分解した部分を、正確に“元の形に戻す”ための情報を脳内で保ち続ける。
(集中、集中……でも、怖がってたら、広げられない)
何度も繰り返すうちに、視界の端がぼやけてくる。
それでも、彼女は立ち止まらない。
(進まなきゃ…)
崩れかけた地面を、彼女は“絶対に崩さなかった”。
こうして、地獄の強化合宿の幕は切って落とされた。
昨日はいなかったプッシーキャッツの2人も加わり、誰もが限界に挑み、個性を、心を、身体を、徹底的に追い込んでいった。