第13章 林間合宿
洸汰が箱を取り上げた人物を見上げると、そこには黒髪の静かな女の人が立っていた。
「どこに運べばいい?」
そう。箱を取り上げた人物はだった。
洸「…自分でやるからいい」
洸汰が箱を取り返そうとすると、はヒョイっと交わした。
「どうして?男の人ほどの力はないけど、君よりはあると思うよ。君、子供だし」
洸「俺が頼まれたことだからだ」
は洸汰に目線を合わせることもなく、淡々と続ける。
「出来る人や得意な人に、任せることも大事だよ」
洸「…うるせぇ!返せ」
洸汰はの脛を蹴った。
しかし、の脛はまるでハラハラと音を立てるかのように分解され、洸汰の蹴りは無意味となった。
「残念。緑谷くんのようにはいかないよ。気に食わない人にすぐ手を出すのは、あまり褒められたものじゃないね」
注意するの顔は少し笑っていた。
「多分こっちかな」
は行き先を聞かずに勝手に歩き出した。
洸「お、おい!」
洸汰はの後を追った。
その様子を相澤とデクの2人だけが見ていた。
相「…」
相(あいつなりに、気にかけてんだな)
相澤はフッと優しい顔をした。
緑「…」
緑(繋原さん…すごいな…。僕はただ拒否されるだけだったのに、怒りながらとはいえ、繋原さんのこと追いかけてる)
洸「……ちっ、なんだよあいつ…」
そう口では言いながらも、洸汰はなぜか、その背中から目を逸らせなかった。
そして洸汰の小さな足音が、の背中を追って、廊下に響いた。