第12章 期末テスト
「……」
は目にいっぱいの涙を溜めて、相澤を見た。
相「残念ながら過去を取り戻してやることは出来ない。だがせめて今からでもと思って、俺はお前に接して来たつもりだったんだが…」
「伝わる…」
相「そうか。ならよかったよ。…お前はそう人と比べて勝手に落ち込んで、何でも自分のせいにするな。悪い癖だ。いい加減なおせ」
「…はい…」
相「あとお前は"動けなかった"んじゃない。"動かなかった"んだ。そこ履き違えるなよ」
「はい…」
すると相澤はの頭にポンと手を置いた。
相「その場でその判断ができたこと、成長したな。よくやった」
の目は大きく見開かれた。
望んでいた温もりが、いとも簡単にの心の蟠りを解していく。
そんな感じがした。
相(こうしてほしかったんだろ、分かってるよ、ちゃんと)
の顔にはようやく笑顔が戻り、少し大きく頷いた。
そして2人はまた歩き出した。
「先生」
相「なんだ」
「……通り過がりにね、死柄木が私のこと"迎えに行く"って言ったの」
相澤は思わず足を止めた。
「通りすがりだったから聞き違いかなとも思ったんだけど、一応先生に報告しとこうと思って…って、先生…?」
は少し後ろで立ち止まる相澤の方を振り返った。
すると相澤は珍しく少し焦燥するようにやってきての両肩を掴んだ。
相「今なんて言った?」
「え?あぁ一応報告しとこうと…」
相「違うその前だ。死柄木になんて言われた?」
「…"迎えに行く"って…」
相澤の眉間に皺がよった。
「で、でも私の聞き間違いかも…」
相「用心に越したことはない。お前これから1人で出歩くな。登下校は必ず誰かと待ち合わせて行け。夜外出する時は必ず俺に一報入れろ」
「う、うん…わかった…」
は相澤の気迫に押され、渋々頷いた。
これがのちに度を超えた用心ではなかったと分かることになるとは、知らずに。