第12章 期末テスト
元気よく手を振って走り出した芦戸は、あっという間に人混みに紛れてしまった。
さっきまでの賑やかさが嘘のように、自分だけが取り残されたような気分になる。
「え……?」
その場に立ち尽くしたは、慌ててあたりを見回す。
「芦戸さん?芦戸さーん……?」
近くのショップを覗いてみたり、周りの顔を見てみたりするが、
さっきまでいたはずの芦戸の姿はどこにもない。
(やばい……完全にはぐれた……)
内心焦りつつも、遠くで誰かが呼ぶような声がして、そちらを振り向いた。
麗「あ、繋原ちゃん!」
声の主は、お茶子だった。
「お茶子ちゃん……!」
思わずホッとしたように、は微笑んだ。
お茶子は小走りで近づいて来た。
麗「三奈ちゃんと2人で行ったんちゃうん?」
「それが人も多いからはぐれちゃって…お茶子ちゃんは?」
麗「なんか、デクくんと2人きりになるの……恥ずかしくなっちゃって……つい、逃げてきちゃった」
「ああ……そうだったんだ」
麗「そしたら繋原ちゃんがいて、つい声かけちゃった」
そう言いながら、どこかホッとしたような笑顔を見せる。
も、さっきまでの焦りが和らぎ、自然と笑みを返した。
麗「……ねえ、繋原ちゃんは、デクくんのこと、どう思ってる?」
は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに柔らかく微笑んで答える。
「尊敬してるよ。あの子、周りをすごくよく見てるし、自分より人のことを優先できる。…私にはないもの、たくさん持ってるから」
麗「……」
一瞬だけ、胸の奥がちくりとしたように見えたお茶子。
麗「……もしかして、好き……なん?」
は少し驚いたように目を見開き、ふっと笑った。
「好きだけど、仲間として、クラスメイトとしてだよ」
麗「……そっか」
お茶子は思わずホッとしたような表情を浮かべた。
「お茶子ちゃんは、緑谷くんが好きなの?」
麗「え!?ぜぜぜぜ、全然ちゃうよ!?そんなんじゃないし…!」
「そんな全力否定しなくても…でも、緑谷くんもお茶子ちゃんのこと好きだと思うけどね」
は少し苦笑いしてから言った。