第11章 職場体験
はところどころ包帯が巻かれている3人を心配した。
デクと轟は大丈夫とのことだった。
ーーしかし
「飯田くんは腕大丈夫?」
轟とデクは少し気まずそうに黙った。
飯「…後遺症が残るそうだ」
「え…」
飯「両腕ともやられたが、特に左側のダメージな大きかったらしくてな。腕神経叢という箇所をやられたようだ」
「そんな…」
飯「とは言っても、手指の動かしづらさと多少の痺れくらいなものらしく、手術で神経移植すれば治る可能性もあるらしい」
「私、治すよ。神経系の回復は少し苦手だけど、でも、ものすごく集中すればっ…」
は提案した。
しかし飯田はゆっくりと首を振った。
飯「自分への戒めとして、これは残しておきたいんだ。せっかく言ってくれたのに、すまないな」
は飯田の気持ちがよく分かった。
自分も同じだから。
そしてそう言われては、もう何も言えなかった。
飯「ヒーロー殺しを見つけた時、何も考えられなくなった。マニュアルさんにまず伝えるべきだった。なのに怒りで我を忘れてしまった」
飯田はステインから言われた言葉を思い出していた。
"目先の憎しみに囚われ、私欲を満たそうなど、ヒーローから最も遠い行いだ"
飯「…奴は憎いが、奴の言葉は事実だった。だから、俺が本物のヒーローになれるまでこの左手は、残そうと思う」
緑(あの時…もっと強く言っておけば…)
デクも轟も後悔のような表情を浮かべる中、だけは少し微笑んでいた。
「そっか…。うん、いいと思う。自分を見失わないための、目印のようなものだよね」
それは今までたくさんの傷を負った、悲惨な過去を背負っただから言える言葉であった。
轟「あっ…」
緑「繋原さん…」
「でも、私安心したよ。飯田くんはいつも真面目で理性が強い人だから、自分の感情を疎かにしてるんじゃないかって思ってたの。でもそうじゃないって分かって、安心した」
飯「君は…本当にどこまでも強い人だな…僕も君のように…なれるだろうか…」
「私だってまだまだ。だからこれから強くなっていこ。一緒に」
飯田はその言葉に、泣きながら頷いたのだった。