第11章 職場体験
が、かすかに目を開ける。
相澤は、そっと身を乗り出した。
はぼんやりと視線をさまよわせ、そして――
「……先…生……」
掠れた声。
それでも、その一言に、相澤は微かに目を細めて頷いた。
相「……なんだ」
は一瞬きょとんとして、小さく、かすれた声で言った。
「……ここ……どこ……?」
相「病院だ」
そう答えた瞬間、の目が微かに揺れる。
手のひらを見つめ、ぽつりと漏らした。
「……私……生きてる……?」
相澤は、ほんのわずかに目を伏せて、口元にごく小さく笑みを浮かべた。
相「じゃなきゃ困る」
その言葉に、は、かすかに笑った。
相「……笑い事じゃない」
そう言いながら、相澤の頬も微かに緩む。
「先生……怒ってる……?」
その問いに、相澤は短く息を吐いた。
相「……怒ってた。何やってんだ、お前は。…って、本当は、目を覚ました瞬間に叱りつけるつもりだった」
一拍。
相「でも……お前がこうして笑ってるの見たら……もう、どうでもよくなった」
ほんのわずかに、躊躇いがちな手が伸びる。
指先が一瞬宙をさまよってから、そっとの頭に触れた。
相「……よく、帰ったな。頑張った」
は、安心したように微笑み、力無く目を細めた。
そのまま――
「……先生……ありがとう……」
掠れた声で、それだけ言った。
相「……」
少しだけ髪を撫でたあと、そっと離した。
相「もう少し……寝てろ」
優しい声だった。
は、まるでその言葉に誘われるように、すうっと目を閉じ、深い眠りへと落ちていった。
相澤は、しばらくその顔を見つめていたが――
……ふっと、肩の力を抜いた。
ベッドの縁に手をつき、そっとの隣で、ベッドに突っ伏した。
背中はかすかに揺れていた。
ようやく。
ようやく、相澤もまた、この静けさの中に、眠りへと身を委ねていった。
合理性を求める相澤が、丸2日ぶりに取った睡眠であった。
朝の光は、穏やかに二人を包んでいた。