第11章 職場体験
緑「……行くぞ、飯田くん!!」
飯「あぁ……!」
デクの声で、轟の瞳に、迷いが晴れる。
轟「――ッ!」
氷、炎、雷のような勢い――三人の力が、一つになって、ステインに迫る。
緑「スマァァァッシュッ!!」
――ドゴォォン!!
激しい衝撃音が響き渡り、視界が一瞬、白く染まった。
その直後だった。
ドサッ。
轟が振り返る。
轟「……繋原?」
彼女の身体が、ゆっくりと崩れ落ちる。
轟「繋原ッ!!」
轟が叫び、駆け出す。
その身体を、地面につく直前で抱きとめる。血に濡れた衣服が、じわりと轟の胸元を濡らした。
轟「しっかりしろ!おい……!」
呼びかけるがもう既に意識は――なかった。
倒れたステインの前に立つ三人。
息を切らしながらも、確かに勝利を掴み取ったという実感が、その手に残っていた。
だが。
緑「繋原……さん……!」
轟の腕の中にいる繋原の体からは、今なお血が流れていた。
彼女の顔色はひどく悪く、冷たい汗が額に滲んでいる。
轟「応答しろ……!なあ……!」
轟が呼びかける。
しかし、繋原の瞼は閉じたままだった。
デクが小さく呟いた。
緑「……嘘だ…嘘だよ……目を開けてよ…繋原さん」
その声に、誰も言葉を返せなかった。
飯田は、震える手を膝につきながら、静かに唇を噛んだ。
胸の奥が、締め付けられるように痛かった。
──誰かのために、命を懸ける。
それは、理想ではない。
現実に、今、目の前で行われたことだった。
飯「……あの時、俺を庇ってくれた……」
ぽつりと漏れたその言葉に、轟とデクが振り返る。
飯田の目には、悔しさと、自分への怒りと、そして――
強い決意が灯っていた。
飯「絶対に……無駄にはしない。彼女のこの行動も、戦った想いも……俺が、証明する。ヒーローとして」
その言葉を聞いたデクは、小さく頷いた。
轟も、抱きかかえる彼女の背に、そっと手を添えた。
轟「それなら……俺たちの番だな」
緑「うん……」
やがて、遠くからサイレンの音が近づいてくる。
緑「応援……来たんだ……」
デクが振り返って叫ぶと、上空にプロヒーローたちの姿が見えた。
そして、駆け寄ってくるのは――