第11章 職場体験
息を切らす音が、ただ静かに響いていた。
ステイン、轟、――三者は互いに距離を取りながら、鋭い眼光を交差させる。
瓦礫の合間で、飯田とデクはまだ動けずにいた。
けれど、その瞳はしっかりと前を見ている。
轟「……っ」
轟が乱れた息のまま、隣に立つに目をやった。
彼女の唇は、紫がかるほど色を失い、皮膚の血色も明らかに薄かった。
戦いながらも、ずっと――自らの血液をギリギリまで制御していたのだ。
緑「繋原さん……!」
デクが呟くように言うと、はかすかに笑った。
「大丈夫……まだ、動けるよ」
その声は震えていたが、目だけは、決して揺れていなかった。
轟が迷うように口を開きかけた、そのとき――
ステインが一歩、踏み出した。
ス「信念なき者に、正義を語る資格はない」
「じゃあ聞くよ、飯田くん」
の視線が、ゆっくりと倒れた彼に向く。
「このままでいいの?」
飯田の指がわずかに動いた。
「君が、ここで倒れて、自分の信念を否定されたまま……それでいいの?」
その言葉に、飯田の瞳が揺れる。
轟も口を開いた。
轟「お前は、ここで終わる奴じゃない――お兄さんのことを思って、ここまで来たんだろ?」
その言葉に、飯田の瞳がわずかに揺れる。
轟「なら……お前のなりてぇもんちゃんと見ろ!!」
続くように、が声をあげた。
微かに震えた声――それでも、芯はぶれなかった。
「……諦めるな、飯田くん。あなたのその“思い”が、誰かを救う。――私は、それを知ってるから」
その声には、痛みが滲んでいた。けれど、確かに届く強さがあった。
飯田の瞳が、見開かれる。
飯「……!」
――そのときだった。
の足元が、わずかに揺れた。
ほんの一瞬、呼吸を乱し、意識が遠のいた。その隙を、ステインは見逃さなかった。
「――!」
闘志と執念に突き動かされたステインは、視線をそらした刹那、地を蹴っていた。
まるで音すら消えるような動き――残像のような速さだった。
轟「ッ、危ない!」
轟の声が空を裂くより先に、スパン、と軽い破裂音のような音が響く。