第11章 職場体験
ステインが再び刃を構える。目を細め、明確に“敵”としてを見定める。
ス「悪くない目だ……だが、どこまで保つ?」
その言葉に、は答えない。ただ、一歩前へ踏み出した。
「轟くん……援護を頼んでいい?」
その背を見て、轟が静かに頷く。
轟「……ああ。こっちも、まだ立ってる」
二人が並ぶ。炎と氷を纏った轟、傷を癒しながら命を削る。対するステインの目に、明確な“戦い”の色が宿った。
ス「来い。信念とやらを、見せてみろ」
風が鳴る。
次の瞬間――が地を蹴る。
加速、跳躍、拳の加速。
それを受けるようにステインが剣を構えたその直後、氷柱が足元を包む。
ス「……!」
轟の攻撃だ。ステインの動きを止めるわずかな時間を稼ぎ、の拳がその顔面に迫る。
ガッ――!!
鋭い斬撃と拳がぶつかり、風が裂けたような音が響く。
一進一退の攻防。轟の炎が援護し、が前に出る。
斬られそうになった箇所を彼女は即座に分解し、血を出す間もなく修復して立ち回る。
だが――
緑「……繋原さん…?」
その違和感に、最初に気づいたのはデクだった。
倒れたままの視線の先で、の唇の色が――明らかに、薄い。
緑「まさか……」
肩で息をしながらもは止まらない。だがその頬は蒼白で、息も荒い。
デクの目に映ったのは、戦っているというより、”燃え尽きる寸前の焰”だった。
緑「繋原さん……血を……」
デクの中で、の能力と、その使い方が、瞬時に結びつく。
緑「体に流れる血を分解して……! 戦ってる……!」
飯田と轟もその意味に気づき、目を見開いた。
飯「そんなこと……命を削ってるようなものだ……!どうして…そこまで……」
轟「おい……お前、まさか……!」
ステインの剣が鋭く振るわれる。
轟「……貫かせは、しない!」
轟の炎が瞬時に間に割り込み、斬撃を防ぐ。だがその後ろで、がわずかによろめいた。
緑「繋原さん!!」
デクの叫びが響く中、はそれでも笑っていた。
「大丈夫……まだ、立てるから」
その声に、誰もが言葉を失った。
“今、彼女は何を削っているのか”
それは、命の時間だった。